2012年3月26日月曜日

DAY 206

最後の目的地ポルトへ移動。
リスボンと同じく坂道が多く、様々な模様のタイルやアズレージョが街中に見られるけれど、都市軸がはっきりしグリッド性の強いリスボンに対し曲がりくねった路が続いている。


Came to the final destination Porto.
Same as Lisbon, there are many slopes, various designed tiles and azulejos in the city.
But different to Lisbon, which has clear urban axis, curved paths continue here.





街の中心部にある「サン・ベント駅」構内も大きなアズレージョで飾られている。
待合室が無いのでぼんやりアズレージョを眺める。


Big azulejo is also on "São Bento station".
There is no waiting space and people gazes at it blankly.




今回の旅行で最も訪れたかった建築、「カーサ・ダ・ムジカ」(OMA、2005)へ。


To "Casa da Musica" (OMA, 2005), which I most want to come on this trip.



地下へのアプローチのため盛り上げられた床はスケーターの絶好の遊び場になっている。


Slopes for entrances to underground are used by skaters.


メインホール。

A main hall.

巨大な木材に見せたフェイクの外壁は、ベニヤに金箔を貼ったもの。

Gold papers are put on plywoods to look like a big fake plywood.

客席には両サイドにしか通路が無いが、椅子が座った状態で前後にスライド出来るようになっている。
また座席に使われた布は人体と同じく70パーセントの水を含んでいるため、本番に近い音環境下でリハーサルを行えるらしい。

While there are only side passages, because seats can be slid to and fro and people don't need to stand.
And because fabrics used for seats contain 70 % water same as human body, musician can rehearse under the near sound-condition as real performance. 



全体のヴォリュームからくり抜かれたメインホールに通じる様にその他の部屋もくり抜かれている。
そして残った部分に動線が織り込まれていく事で、ダイナミックな移動空間がある意味必然的に生み出されている。
壁や天井はアルミメッシュで覆われ、透けて見える蛍光灯や赤く塗られた配管の細い線が空間の動きをなおさら強めている。
また光源を面の内側に隠す事でフラットなチューブが曲がりくねっていく。



そして建物の最上部に位置する設備スペースが現在はインドネシアの民族音楽ガムランの楽器の展示スペースとなっている。





ポルトガルとオランダのアズレージョが貼られた部屋。
宗教的な場面を描いたものがポルトガル製で、日常生活を描いたものがオランダ製。





草にカモフラージュされてサインが書かれている。


天井から吊られたバースペースは床がエキスパンドメタルになっている。
クンストハル」でもギャラリー部分に同じデザインが用いられていて高所恐怖症の自分は歩く事が出来なかったが、ここでは下の空間に焦点をあわせるポイントになるものが無いので高さが把握出来ず恐怖心はそれほどでもなかった。




ハイヒールの女性でも歩ける様にガラスが敷かれている。




氷を模した素材で作られたバーカウンター。




託児室として使われる部屋は安全性を考慮して古タイヤを再利用して作られた弾力性のある素材が床と壁に用いられている。天井はクッションを敷き詰めた様なデザイン。
大ホールに接しているため公演中も子ども達は親の様子を確認出来る。


託児室の隣にあるのは子ども達に大人気だというスロープのある部屋。

その他にもそれぞれの部屋のインテリアが全く別のデザイン。



塊から空間をくり抜いて行くという非常に分かりやすいダイアグラムを用い、外観ではそれを強調する様にエッジを際立たせたり壁面とガラス面の境界をフラットに納め建物の抽象度を上げている。
建物内部においては各部屋の空間は依然強い図式性を帯びているものの、様々な素材を用いディテールにこだわる事によって外観とは対照的に具象性が高められている。


建築は実際に訪れてみなければその良さは実感出来ないというのは当たり前のようであるが、ダイアグラム建築ではそれが単なる確認作業に終わってしまう場合も多い。
ところがカーサ・ダ・ムジカでは大変分かりやすいダイアグラムを用いながら、実際に推進力をもった空間の面白さはもちろん素材にこだわる事でたくさんのフックが用意されていて、飽きる事無く見てまわる事ができた。


おまけ、地下に設けられた妙にだだっ広いトイレ。

そして海沿いに向かい、「レサのスイミング・プール」(アルヴァロ・シザ、1966)へ。
岩場を利用して作られたプールには波が打ち寄せている。
更衣室やトイレの入った建物も道路側からの見ると低く抑えられ、全体として抑制の利いたデザイン。
道路と平行に走る建物内部を折り返し進んで行くとプールへと抜ける。

"Leça swimming pool" (Alvaro Siza, 1966)






そこから更に20分程歩いたところに「ボア・ノヴァ・レストラン」(アルヴァロ・シザ、1963)が建っている。
残念ながら中に入る事は出来ず、外観からは彼の建築の特徴である空間を支配する大きな要素の代わりに小さな部分の集合で出来ているという印象を受ける。
窓から何とか中をのぞき見ると、方流れの屋根が空間を支配している様にも感じられるが実際に体験してみたかった。


"Boa Nova restaurant" (Alvaro Siza, 1963)





ビール日記233 Super Bock (○)
Beer records 233 Super Bock (○)